全身から腐った魚のニオイを発する女性の物語

調理中や食事中はあまり気にならない魚のニオイですが、それ人の体からするとなると周囲の人は思わず顔をしかめてしまうかもしれません。 イギリス・マンチェスターに住む36歳の女性ケリー・フィドー=ホワイトは、ある珍しい疾患を原因とする体臭に子供の頃から悩まされてきました。症状は「体全体から腐った魚のような匂いがする」というものでした。

Youtube/Barcroft TV

体を清潔にしているにも関わらず、腐った魚や玉ねぎ、糞便のニオイがすると、小中高時代をずっとクラスメートからいじめられ続けてきました。1日2回は着替え、4回シャワーを浴び、匂いを誤魔化すためにデオドラントスプレーを缶まるごと使い果たし、赤くなるまで執拗に皮膚を擦っても、ニオイは悪化する一方でした。

ケリーは10代の頃に一度、医師に診断を仰いだことがありました。しかし、その時は原因不明とされたそうです。ケリーが初めて正しい診断を受けて「トリメチルアミン尿症」という病名を知ったのは34際になった頃でした。

トリメチルアミン尿症は、摂取した食物を体内で消化分解した際に発生したトリメチルアミンという化合物が分解されず、汗や尿、呼気の中に排出されてしまう疾患です。体、汗、尿から腐った魚のような激臭を発することから、「魚臭症候群」とも呼ばれています。患者数は世界に300~600人と非常に珍しい疾患で、先天性の場合、残念ながら現在のところ直接的な治療法は見つかっていません。

この2015年の診断で判明したのは、これまで体臭を誤魔化すために使用していた香水や香り付きの石鹸が実は症状を悪化させていたということでした。現在は魚介類や卵、乳製品などの体臭として強く出る食べ物を控え、腸内フローラを改善するための飲み薬で症状を緩和する治療を受けています。

実はケリー、トリメチルアミン尿症に加えて臭覚に障害を抱えているそうです。つまり自分の強烈な体臭に気づくことができないうこと。これを恩恵あるいは呪いと捉えるかは判断が難しいところですが、悪臭を放つ自分の体臭と向き合うのが非常に困難だということは確かだといいます。

大人になってからも周囲からの冷たい扱いを受け、不安や孤立感に悩まされることは少なくありません。現在レントゲン技師として勤務する病院でも、廊下を歩くたびに強烈なニオイが鼻を突くためにスタッフや患者からの苦情が絶えず、できるだけ人との接触を避けるために夜勤のシフトで働くようにしています。

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日常生活に支障をきたすほどの不幸としか言えない困難を抱えるケリーですが、彼女には心から愛しサポートしてくれる夫のマイケルがいます。2人は16年前にインターネットを通じて知り合いました。マイケルはケリーの独特な体臭も含め、妻を深く愛しています。ケリーの独特なニオイが気になる日もあるとのことですが、それを口に出していうことはありません。

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夫や職場の同僚たち理解とサポートもあり、ケリーは自分が抱える疾患についてジョークを飛ばせるようになるほど自信を取り戻すことができました。

ケリーは自分が苦しんで来た疾患についてより多くの人に知ってもらうことで、同じ病気に苦しむ人の力になりたいと考えています。人に体臭を指摘されるような時には、それが衛生意識などの問題ではなく、病気が原因であることを説明するように心がけているそうです。 

世にも珍しい奇病を抱えるケリーの物語は、こちらの動画で紹介されていました。(英語音声のみ)